大好きなサカナクションの復活ライブ映像『SAKANAQUARIUM 2024 “turn”』をドルビーシネマで観てきた。映画館でありながら声出しスタンディングOKのライブブューイングも高度な映像や音響を備えるドルビーシネマも初体験で楽しめたが、やはりライブの内容が良すぎて涙してきた。
楽曲制作、ヴォーカルを担う山口一郎さんの歌う姿が美しく、きれいだなあーと見とれる自分がいた。
山口さんの生み出す楽曲は、陳腐な言い方になってしまうが深い。その音楽に触れていると美術館で絵を見ている時のような自分を高度なところに引っ張り上げてくれるような静かな高揚感を覚える。言葉を慎重に丁寧に選び取り繊細に作られていることが伝わってきてなんとも言えず豊かな気持ちになり胸が震えるのだ。
山口さんは北海道で芸術に造詣の深いご両親に育てられ本ばかり読んでいる子どもだったそうだ。そして自分が文学から得た感動をどうやって表したら伝わるかを考え辿り着いたのが音楽にのせることだったと何かで読んだことがある。
全ての楽曲に心動かされるのだが、最近よく聴いているのが2009年のアルバム「シンシロ」にはいっている「enough」という曲。歌われる普遍的な孤独に希望をもらえる。
ライブで「シャンディガフ」という曲が歌われたので帰りに寄った中華レストランでシャンディガフを生まれて初めて飲んでみた。ビールのジンジャーエール割りのそれは私には甘くて恐らく二度と飲まないだろうと思ったが、この日の満ち足りた気持ちの記憶の中に残り続ける味だと思った。