好きなものを語る⑧化け猫あんずちゃん

好きなもの

東京国際映画祭で「化け猫あんずちゃん」を観てきた。いましろたかしさんの「あそこまでいってみよう」という絵本が好きなので、この映画は絶対面白いという予感がしていた。いましろたかしさん原作、久野遙子さんと山下敦弘さんが監督したこの作品。予感は的中、ツボだなーと思いながら独特な世界観を楽しんだ。名場面、名台詞がありすぎで笑いあり涙ありの味わい深い作品だった。

借金取りに追われる父親の実家の寺にしばらく1人預けられることになった小学5年生のかりんとその寺で暮らす化け猫あんずちゃんの物語。

最初に胸を掴まれるのがあんずちゃんの登場の仕方。お寺に原付で普通に現れる。先の絵本も同様なのだが人間と動物に区分けがない。さらっと共存している様がなんか良い。時には動物であることを盾に無免許運転の取り締まりを免除してもらおうとするあんずちゃんが愛おしい。

出てくるキャラクターは皆、毒気があったり、小学生男子あるあるな感じだったり、人情味があったり、いきいきとしていて魅力的だ。南伊豆の美しい風景の画にもはっと息を飲む。

この映画は実写を撮ってからアニメーション化する「ロトスコープ」の手法で撮られているそうだ。あんずちゃんの声を担当する森山未來さんがあんずちゃんとして演技をしたそうでアニメーションの進化に感心しきり。聞けば錚々たるクリエイターの方々が集結した作品らしく、納得。感動をありがとうございますと心の中で合掌した。

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